【NC旋盤】ツールセッターを使わずに補正を出す方法
NC旋盤のツールセッターはとても便利ですが、
経年劣化等で突然故障してしまう事もあります。
どうしても遅らせられない仕事があるのに故障してしまったような時でも
この方法を知っていれば、補正が問題なく出せるので役に立つと思います。
目次
ツールセッターを使わずに補正を出す方法
用意する道具
- 補正ジグ(廃棄するようなリング:芯振れ、幅振れが極力少ないものが好ましい)
- マイクロゲージ(外径切削工具の測定用)
- シリンダーゲージ(内径切削工具の測定用)
補正を出す工具のチップと外径荒加工用のチップを交換
まず、補正を出す対象の工具のチップを交換します。
合わせて外径の荒加工に使用するチップも交換しましょう。
補正対象の工具のX値(径方向)の補正の出し方
補正ジグの径(なるべくストレート部)にハンドル(×10)で軽く刃先を当てて、ハンドルでZ方向に逃がします。
↓
ハンドルでX値マイナス方向に3目盛ほど入れます。(0.03㎜)
↓
オーバーライド送りに切り替え、送りのダイヤルを50%にしてZ値マイナス方向へ送り、ジグを軽く削ります。(10〜15㎜程度)
↓
削れたら、X値は動かさずにZ方向へ逃します。(オーバーライド150%)ジグから刃先が抜けたら早送りで一気に逃します。
↓
マイクロゲージで削った部分を3箇所ほど測定します。
↓
測定値をオフセット画面の対象工具のXの形状補正値に入力して測定します。※寸法の読み間違い、入力間違いに注意してください。
X値の補正は完了です。
次はZ値になります。
補正対象の工具のZ値(幅方向)の補正の出し方
タレットを回して基準バイトとして使用するバイトにする。(正確に補正を出す為にチップのコーナーは新品部にする事をお勧めします。)
↓
補正ジグの端面にハンドル(×10)で軽く当て、X方向へ逃がします。
↓
ハンドルでZ値マイナス方向へ3目盛ほど入れます。(0.03㎜)
↓
オーバーライド送りに切り替え、送りのダイヤルを50%にして端面を削ります。※外径用内径用など複数の工具の補正を一度に出す場合もあるので端面は全て削るようにしましょう。
↓
端面を削り切ったら、Z値は動かさずにX方向へ逃します。(この時は刃先がジグから抜ける程度に逃して貰えば大丈夫です。)
↓
現在のZの絶対座標を0.にします。(機械によってそれぞれ方法が異なると思います。)
↓
0になった事を確認したらZ方向も逃して、補正対象のバイトに切り替えます。
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対象のバイトを早送りやハンドルなどを使用して端面にギリギリまで近づけて、ハンドル(×1:1目盛0.001)送りで一筋付くまでゆっくり送ります。
↓
一筋付いた位置で工具は動かさず、オフセット画面の対象工具のZの形状補正値に現在のZ値を入力します。(機械にもよりますがZ測定で入力できるはずです。)
↓
工具を逃します。
以上で補正は完了です。
一度で複数の補正を出す場合は、まず対象工具のXの補正を全て出してからZを出すようにするとスムーズに出せると思います。
最後に
以上、ツールセッターを使用せずに補正を出す方法でした。
作業標準書としても参考になればと思い、なるべく簡略的に書かせて頂きましたが
読み辛かったら申し訳ありません。
少しでも参考になれば幸いです。
当ブログでは、初心者様へ向けたドリルの再研磨方法を紹介した記事もあります。
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閲覧ありがとうございました。
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