〈溶接ヒューム〉が特定化学物質に追加。特定化学物質とは?
溶接ヒュームが、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼす恐れがあることが明らかになったことから、ばく露防止や健康管理を促進するために労働安全衛生法施行令等が改正されたようです。
これにより、溶接ヒュームは管理第2類物質として新たに規定されました。
目次
溶接ヒュームとは
アーク溶接は溶接棒と母材の間にアークを発生させて、
その熱で溶接棒を溶かして接着させる溶接方法です。
その高熱によって金属が溶けて発生する粉塵を「溶接ヒューム」と呼びます。
人体への影響
溶接ヒュームとは非常に細かい粉塵で、空気中に漂うヒュームを吸い込んだとしても
気づくことは無いと思います。
しかし、人体には非常に有害であり、長期間に渡り多量に摂取し続けると「じん肺」と言う病気になってしまいます。
じん肺とは、肺の組織が繊維化して、肺の弾力が失われてしまう非常に恐ろしい病気です。
重症化してしまうと、少しの運動でも息切れや動悸がして日常生活にも支障が出てしまいます。
また、じん肺は一度発症すると現時点では根本的な治療方法が無いので、とても厄介な病気なのです。
対策としては、換気設備の設置や防塵マスクの着用等です。
防塵マスクの規格や選定方法などを知りたい方はコチラの記事も参考にしてみて下さい。
特定化学物質とは
労働安全衛生法施行令の別表第3に規定されている物質のことを特定化学物質と言います。
第1類から第3類に分けられています。
第1類は、癌などを引き起こす物質のうちで、特に有害性が高く、厳重な管理が必要になるもの、
第2類は、同じく癌などを引き起こす物質のうちで、第1類には該当しないもの、
第3類は、大量漏洩によって急性中毒を引き起こすとされるもの、
と分類されています。
また、これらを取り扱う作業所には、国家資格である特定化学物質作業主任者の資格保有者をおかなければならないとされています。
特定化学物質作業主任者とは
特定化学物質作業主任者は国家資格ではありますが、講習を受けるだけで取得できる資格のようです。
また、受講するにあたって必要な資格も特にないようで、未経験者でも取得しやすい資格になっているようです。
仕事の内容や試験の内容等の詳細は、外部リンクとなりますがこちらをご覧ください。
特定化学物質に追加された事で何が必要になるか
- 特定化学物質作業主任者の選任
- 特定化学物質に係る特殊健康診断の実施
- 屋内においてアーク溶接を行う場合に、ばく露防止措置や作業場の濃度測定等の措置
などが必要になるようです。
特定化学物質作業主任者が行うこと
- 作業の方法を決定し、労働者を指導する
- 換気装置を一ヶ月を超えいない期間ごとに点検する
- 保護具の使用状況を監視する
特殊健康診断の実施
じん肺法に基づくじん肺健康診断に加えて、
溶接ヒューム等を取り扱う業務に常に従事する労働者に対して、
半年以内ごとに1回、定期に特定化学物質に係る特殊健康診断を実施する必要があります。
屋内においてアーク溶接を行う場合に、ばく露防止措置や作業場の濃度測定等の措置
全体換気装置による換気の実施等、溶接ヒュームの濃度測定、濃度測定実施後の措置、呼吸用保護具の使用等、掃除の実施等、各種の実施や措置が必要になります。
詳しい内容、施工期日などは各都道府県の労働局ホームページをご覧ください。
最後に
事業所等では改正により対応に追われることもあるかも知れませんが、
余裕を持って準備し、安全な職場環境を整えましょう。
ご覧いただきありがとうございました。
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