防じんマスクの必要性と選び方

勉強ノート

防じんマスクの必要性と選び方


 

 

防じんマスクと一言で言っても色々な種類や規格があります。

今回は防じんマスクの必要性と選び方について解説したいと思います。



目次

溶接時の防じんマスクの必要性〈じん肺〉

アーク溶接等で発生するヒュームには亜鉛などの身体に有害な物質が含まれており、

長期に渡って多量に摂取すると「じん肺」という病気になってしまいます。

一度に多量に吸入した場合でも、じん肺までには至らなくとも数時間経過後に悪寒が始まり、高熱を引き起こすことがあります。

じん肺は初期段階ではほとんど自覚症状がなく、ある程度進行していくと咳が出るようになり、

歩いただけで息苦しさを感じるようになります。

さらに悪化すると少し運動しただけで動悸がして、生活に支障が出るまでに至るそうです。

また、じん肺の一番厄介な事は一度発症すると根本的な治療はできないことです。

このような危険な病気から身を守るために防塵マスクは必要になります。

初期の自覚症状が無いとなると、気付いた頃には病状がかなり進行しているなんてことも

あると思うので、軽視せず、必ず防じんマスクを着用して作業するようにしましょう。

防じんマスクの規格と選び方

それでは一般的な防じんマスクの種類等を紹介したいと思います。

まず簡単に説明しますが、取り換え式と使い捨て式の2種類のタイプがあります。

作業環境によって使用できるマスクのランクと、

粉じんにオイルミスト等が含まれるか否かでも使用できるマスクの違いがあります。

それらがRとD、SとL、1~3で表記されています。

まずRとDが取り換え式(R)か、使い捨て式(D)

SとLがオイルミスト等が含まれている(L)か否(S)か

1~3が粒子の捕集効率(1<3)となっています。

溶接作業で使用する場合は捕集効率は2以上になります。

普段使用する中で、どっちだったかな?と悩むのがSとL表記だと思います。

簡単に区別する方法としては、Sはsolid(固体)でLはliquid(液体)と覚えておくのが良いかと思います。

おそらくSLの表記もその頭文字なので分かっていらっしゃる方は

当たり前だと思われるかも知れませんが、

初めの頃は私自身少し悩むことがあったので一応紹介させて頂きました。

ちなみに、固体と液体があるけど気体は?と疑問に思われた方、

有毒な気体が発生する現場(身近ではペンキ塗り)などでは、防毒マスクを着用しなくてはならないので、頭の片隅に覚えておいてください。

防じんマスクは非常に細かい物質を捕集するためのマスクであり、気体には効果が無いので注意しましょう。



参考リンク

以下の表などは上記のリンク先(ココミテvol.2)を参考にさせて頂いております。

作業内容による防じんマスクの使用区分

  • 放射性物質がこぼれた時などによる汚染のおそれがある区域内の作業または緊急作業
  • ダイオキシン類のばく露のおそれのある作業
  • その他上記作業に準ずる作業
RS3 RL3

※オイルミストなどが存在する場合はLを選択

  • 金属ヒュームを発散する場所における作業(溶接ヒュームを含む)
  • 管理濃度が0.1mg/㎥(※1)以下の物質の粉じんなどを発散する場所における作業
  • その他上記作業に準ずる作業

※1:カドミウム、クロム酸、重クロム酸、ベリリウム、鉛およびその化合物

DS2  DL2  RS2  RL2

およびそれ以上の粒子捕集効率を有する

DS3  DL3  RS3  RL3

※オイルミストなどが存在する場合はLを選択

  • 上記以外の一般粉じん作業
DS1  DL1  RS1  RL1

およびそれ以上の粒子捕集効率を有する

DS2  DL2  RS2  RL2  DL3  DS3  RS3  RL3

※オイルミストなどが存在する場合はLを選択

ココミテvol.2より参考

防じんマスク12種類の分類(DS1~RL3)

試験粒子と捕集効率

 


使い捨て式/取替式

S 試験粒子に固体の塩化ナトリウム(NaCl)を用い測定 L

試験粒子に液体のフタル酸ジオクチル(DOP)を用い測定

区分1/2/3(粒子捕集効率)
D使い捨て式防じんマスク DS3 DL3 区分3:99.9%以上
DS2 DL2 区分2:95.0%以上
DS1 DL1 区分1:80.0%以上
R取替式式防じんマスク RS3 RL3 区分3:99.9%以上
RS2 RL2 区分2:95.0%以上
RS1 RL1 区分1:80.0%以上

ココミテvol.2より参考



防じんマスクのオススメは?

規格等は理解頂けたかと思いますが、では実際マスクを使用するにあたって

どのメーカーのどのタイプを選べば良いのか。

種類がたくさんあって初めて選ぶ方は迷われてしまうと思うので

私が今まで使用してきた中で感じたことやオススメを紹介したいと思います。

※区分に関しては使用される環境に準じたものをお選びください。また、使用されるマスクの使用限度時間等は必ず確認してください。

使い捨て式マスクの選び方

個人的には使い捨て式は特にマスクのデザイン等を気にする必要は無いかと思います。

排気弁が付いているものもありますが、保護メガネが曇らないかと思い使用したことも有りますが

ちゃんと曇りました(笑)(無いものよりはマシかも知れませんが。)

もしかしたら、初めて使われる方の中には息苦しさを感じる方もいらっしゃるかと思うので、

排気弁が付いていた方が呼吸が多少楽かも知れません。

 

私が特に気にしたい部分は脱着方法です。

ゴムにフックが付いていて、後頭部で反対側のゴムをフックに引っ掛けて取り付けるタイプと

マスクの上下のゴムが輪っかになっていて上から被るタイプがあります。

フックタイプは脱着が簡単なので、よく付けたり外したりする場合はフックタイプがオススメです。

ただし、上のゴムが耳の上にかかるので、長時間付けていると耳が痛くなります。

後頭部の上側でも着用は可能ですが、マスクと顔の間に隙間ができないかどうかは注意してください。

輪っかタイプは頭の上から被り、

上のゴムは後頭部の上側に、下のゴムは頭と首の付け根にくるように取り付けます。

なので着け心地は比較的楽ですが、

脱着は帽子や保護メガネ等を外さないと取り付けられない場合が多いので

フックタイプに比べると面倒かと思います。


取替式の選び方

取替式は1種類しか使用したことが無いので、私が選んだ基準を紹介させて頂きます。

まず、使用したことがあるのは半面形面体です。

選んだ基準としては、機能面はもちろんですがコスト面も考慮して選びました。

フィルターが2個タイプと1個タイプが有りますが、

取り替える手間と、フィルターの必要量を考えて1個タイプにしました。

(デザインとしては特殊部隊みたいでカッコイイ2個タイプが好きです。笑)

一つ注意点は、自動遮光溶接面などをメインで使用される場合は、

取替式だと形状がゴツイので、物によっては溶接面と干渉してしまい

溶接面が顔を覆うまで降り切らなくなってしまう場合があります。

フルフェイスの溶接面と併用する際には注意してください。


まとめ

以上が防じんマスクの選び方になります。

お付き合い頂きありがとうございました。

少しでも参考になれば幸いです。

 

当ブログでは被覆アーク溶接の基礎練習の記事等もありますので、ぜひご覧ください。

 

 

閲覧ありがとうございました。

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