【初心者向け:動画有り】ドリルの研ぎ方

ドリル

【初心者向け:動画有り】ドリルの研ぎ方


 

はじめに

回転工具使用の際は軍手の着用は危険ですので絶対にしないでください。
早速動画が見たいという方

動画はこちら

 

 


2022/9/4 追記

一部画像の差し替え、追加、文章の変更等を行いました。


 

今回は卓上グラインダーを使用して、自分の手でドリルを研磨できるようになる

その方法を紹介していきたいと思います。

いきなりこんなこと言ったら怒られるかも知れないですが、

穴が開けば良いんです、穴が開けば(笑)

初めのうちはそれくらい気楽に考えてやってください。(^^ )

目次

まず始めに

ドリルの各部名称(簡略)

ドリル 各名称

切れ刃:ここで被削材を切っていきます。

逃げ面:切れ刃を形成する際に一連の流れで研いでいきます。加工中に被削材に当たらないように切れ刃よりも下がるように研ぎます。

シンニング:意外と重要な部分です。次項で解説します。

↓その他詳しい名称などは下にメーカーさんのリンクを貼っておきますので参考にしてください↓

 

 

シンニングって必要なの?役割は?

切れ刃さえ研げていれば良さそうですよね?実は必要なんです。(φ3などの小径ドリルや下穴が開いている場合は無くても可)

シンニングの役割

ドリルに限らず回転物すべてに言えることなんですが中心の回転数は0なんです。

頭にが浮かんだ方は、回転するもの、ターンテーブルなどを想像して頭の中で回してみてください。

中心の中心は回って無いんです。

ということは、

つまりドリルの中心部も切るのではなく押し込んでいくんです。

その押し込んだ時に当たる面積を少なくして

負荷を小さくするためにシンニングを付けます。

さらに、切れ刃から出た切粉を排出しやすくする役割があるんです。

調べたところによると、食い付きもよくなるらしいです。

加工精度にも影響してくるのでとっても重要ですね。

頑張って付けられるようになりましょう!



各部の気を付けたいこと

切れ刃

  • 刃先の角度は118°ぐらいになるようにしましょう。
  • 仕上がり時はグラインダーの砥石に対して、刃部全体が均一に当たるようにしましょう。
  • 刃を最初の画像のようになるべく真っ直ぐに研ぎましょう。
  • 左右の切れ刃の長さ、角度を揃えましょう。

逃げ面

  • 一筆で刃先まで研磨しましょう。
  • 切れ刃よりも先端に出ないようにしましょう。

シンニング

  • 中心部の切れ刃に付け過ぎないように気を付けましょう。
  • 反対の切れ刃に当てないようにしましょう。
  • 下穴の開いてない被削材に対して使用する場合は必ずつけるようにしましょう。

研磨手順

グラインダーの準備

砥石をドレッサーなどで平らにならします。

砥石の研削面の形状が切れ刃の形状に大きく影響します。

研いでいる間にも変形してくるので、変形がひどくなってきた時や仕上げる直前にはならすようにしましょう。

特に逃げ面と切れ刃が連続して当たる部分が減りやすいです。

砥石の幅に余裕がある場合は当てる位置を少しズラしながら研ぐと、一点のみ減るのを軽減出来ます。

ただし、それは研ぐのに慣れてからで構いません。

 

こちらの記事は砥石面の形状が切れ刃のにどう影響するのかを解説しています。

 

 


砥石面のメンテナスにはドレッサーがオススメです。

ドレッサーが必要な方は下に商品リンクを貼っておくので良ければご覧ください。

<ドレッサー>


持ち方

左右の手どちらでも構いません。

片手は添えるだけ、もう片方の手でドリルを持って、

持った手だけを動かして研ぎます。

添え手は台座の上でも、下の画像のように台座の正面に付けるだけでもどちらでも大丈夫です。

自分が研ぎやすいスタイルにしましょう。

ちなみに私は左手でドリルを持って、右手の人差し指にドリルを置きます。(利き手は右手です。)

径が大きいドリルは台座に直接載せて、添え手は台座の正面に付けて研いだりもします。

 

添え手の親指はドリルに掛けない方が良いです。
親指を掛けてしまうとついつい操作したくなります。添え手でも操作してしまうと上手く研げません。

 

角度について

 

上の左側の画像は120°に合わせてあります。

これと同じくらいの角度で左右とも研げば、

おおよそ118°~125°内で研磨できます。

砥石面に対して約60°の線を台座に引いておくと研ぎやすいかも知れません。

ドリルの先端角はどんな材料を削るかにもよって異なります。

経験上の話になりますが、SS材やS-C材、SKD61などは118°~125°で研げば問題なく加工できると思います。

 


研いだドリルの角度を確認するのにはドリルポイントゲージや刃先ゲージが便利です。

ゲージが必要な方は下の商品リンクからご覧ください。

色々な角度を測りたい場合は、その角度に対応しているかどうかもご確認ください。



 

研ぎ方

研ぎ方はシンプルで、ひねりも加えずそのまま上下に動かします。

分かりやすいように動きは大きく分けて3段階とします。

1→2→3→2→1→2→・・・

という動きで研いでいきましょう。

この一連の動きでは力加減も気にして研ぐようにしてください

1から3に動かすにつれて力を緩め、

3から1へ動かすにつれて力を入れるように研ぎます。

これは何故かと言うと、刃先を一番先端に出すためです。

同じ力加減で研いでしまうと、なだらかな傾斜になりません。

そうすると何がまずいかと言うと、

逃げ面が逃げずに被削材に当たってしまうので、負荷が大きくなって酷い時には全く切れずに焼き付いてしまいます。

加工後に逃げ面に熱の変色が見られる場合は逃げ面が当たってしまっているので注意しましょう。

 

そしてもう一つ注意してもらいたいのが、下の画像のように③の時に柄を上げ過ぎないようにしましょう。

柄を上げ過ぎると刃が内側に向いてしまいます

こちらは良好な形状です↓

こちらは柄を上げ過ぎた時の形状です↓

比べて見るとへの字に逃げ面が突出しているのがお分かり頂けるかと思います。

こちらも被削材に逃げ面が先に当たってしまいます。そうなれば当然良好な加工は出来ません。無理やり加工したりすると、負荷によりドリルが折れたり被削材が飛んで来たりして危険です。

 

そして、気を付けたいことでも書きましたが

なるべく一連の動きを一筆で、上下運動のみで。

何度も当てたり、左右に角度がブレながら研ぐと亀の甲羅のような研磨面になってしまいます。

少し見にくいですが2つの画像を見比べてみてください。

上の方が多角的な反射をしてますよね。

そうすると摩擦力が上がってしまったり、

切れ刃の部分でも被削材に当たる箇所と当たらない箇所が出てしまうので、刃の欠けの原因になったりします。

なるべく綺麗な面にできると良いです。



切れ刃の仕上げ、確認

仕上がる直前は切れ刃全体を均一に当てるようにしてください。

目安は切れ刃を当てているときに全体から火花が出ているかどうかです。

(無理やり火花を出す必要はありません。)

 

切れ刃が形成できたらノギス等で左右の切れ刃の長さを確認します。

中心から外側を測ります。

左右同じ長さなら芯がきれいに出ていると考えて、切れ刃の研磨は完了です。

長さが違うのであれば短い方の刃をもう一度軽く研いで調整しましょう。

※左右の切れ刃の芯が出ていないと切削物に当てた際にドリルが振って、穴が大きくなったりドリルが折れたりするので左右の刃は揃えましょう。
※左右で角度が違うと刃の一部だけに当たるなどして、そこだけに負荷が掛かって欠損しやすくなります。

切れ刃が完了したらいよいよシンニングです。

 


切れ刃の長さを合わせたのにドリルの芯が出ないよ!

とお悩みの方はこちらの記事が参考になるかも知れません。↓

シンニングの研ぎ方

ここでは一般的なシンニングを紹介したいと思います。

(最後にオリジナルのシンニングの記事を紹介します。)

シンニングは砥石の角で付けます。

こちらはひねるような動きになります。

外側から中心へ向かって、逃げ面に対して45°の面を付けるイメージで、

 

 

中心に近づくにつれてドリルは起こしていきます。

中心に近づいたら、そのまま中心の切れ刃に少し掛かるようにひねりきります。

※シンニングを付ける際に、中心を行き過ぎたり反対の刃に当ててしまった場合は残念ですが切れ刃を研ぐ所からやり直してください。

シンニングが終われば

完成です。

別のシンニングの研ぎ方(オリジナル)

研ぎやすいシンニングを選んで頂けば良いと思います。

 

 

 

まとめ

最初のうちは全くできないかもしれません。

何でもそうですが、数をこなせば感覚をつかめるので、

例え最初が絶望的に下手くそでもめげずに続けてください。

かく言う私も絶望的に下手くそで、教わった先輩にセンスが無いとまで言われましたが

「センスの無さは努力でカバー!」をモットーに

ここまで上達してきました。

手で研いでみたい方、大丈夫です!絶対に研げるようになります

この記事が少しでもそのお力になれたら幸いです。

動画でも解説しています

 

動きが分かりやすいと思うので動画の方もぜひご覧ください。

YouTubeは更新頻度がかなり遅いですがチャンネル登録していただけると励みになります。

 

閲覧ありがとうございました。

 


 

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